春のうどと、桜の気配

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先日は、ご常連様のお宅へ
「うど、よかったらどうぞ」のお声に甘えて、庭先までいただきに行ってきました。

ふだんはお店でお客様をお迎えする立場ですが、
こうしてこちらから「いただきに伺う」側になると、
なんだか、子どもの頃近所のおばちゃんに
お裾分けしてもらった日のことを思い出します。

庭には、春のうどがにょきにょき。
ご主人が土をかけて丹精込めて育てていらっしゃり
毎年、春になると届けてくださるのです。

このうどをいただくと
あぁ春が来たなぁと実感します。

 

この春の息吹が楽しみすぎて。
もうたまりませんのです。

ほりたて、土のぬくもりが残るうどを両手いっぱいにいただいて、
重たささえもうれしくて、
胸の奥までジーンとあたたかくなりました。

 

 


穂先や剥いた皮まで余さずいただきます。
だから春先のマダムは顔がうどみたいになっています。

お庭には、曇り空の向こうにちらちらと
咲きはじめた桜が目に入りました。
満開ではないけれど、
まだ少し肌寒い風に揺れるその姿が、
なんとも言えず愛らしい。

昔は花を見ても、「ああ、咲いてるな」くらいだったのに。
こんなにも、花がいとおしく、
けなげに見えるのは、
歳を重ねたからでしょう。

花にこんなに心を和ませてもらうようになるなんて
若い頃は想像もしませんでした。

 

忙しない日々のなかにも、
こうして誰かのご厚意に触れ、
野菜の命に触れ、
小さな花に目をとめられる。
それだけで、今日はとてもいい一日。

春のうどと桜に心をほどかれております。

毎年、メニュー入りを考えてますが
マダムがあっという間に全部食べてしまいますので
食べたい方はご予約をお願いいたします。

 

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