ブルゴーニュをはじめるなら~まだ見ぬボーヌという街へ

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ドルーアン家の魂 ― ボーヌ・クロ・デ・ムーシュ 「クロ・デ・ムーシュ」

ブルゴーニュのワインに興味を持ち始めると、
たびたび出くわす地名ボーヌ(Beaune)

ソムリエ試験でも何度となく
え?なんかよく聞くな、でもどこ?と
何度も調べ直した地名。
私のまだ行ったことのない町。

ブルゴーニュ地方の中でも「ボーヌ(Beaune)」は、
ワイン造りの歴史と品質の高さで名を馳せる、
中心的な存在です。
気候と土壌に恵まれたこの地のピノ・ノワールやシャルドネは、
飲む人の心をそっとほどくような、しなやかな美しさを持っています。

静けさと、熟した時間の町

ボーヌは、ブルゴーニュ地方のど真ん中。
でも、観光パンフレットに載っているような
「キラキラ名所」より、
生活の中にワインが溶け込んでる町。

ワイナリー巡りで賑わうというより、
朝市で焼きたてパンの香りにフラッと吸い寄せられたり、
石畳をコツコツ歩くマダムのヒール音に、
時の流れを感じたり。
変わらないものがちゃんと残ってる町。
そんな「性格のいい」土地のひとつ。
気取らず、でも品があって、
どこか懐かしいような安心感をくれる。ボーヌ。

ワインは、静かに語るタイプ

ボーヌのピノ・ノワールは、
いわば聞き上手系ワイン。
押しが強くない、でもちゃんと心に残る。
赤い果実や湿った森の香りが、
じんわり染みてくるようなやさしさがあります。
シャルドネも、花がふわっと開いてから、
すっと背筋を伸ばすような凛としたミネラル感。
なんていうか、
静かな人がふと語り出すと、
妙に惹きこまれるあの感じ。
あれ、この人ワインにすると、
こうなるのかも。みたいな。

 

まだ見ぬ町へ、グラスが連れてってくれる

旅に出なくても、グラス一杯で世界中を飛べるのが、ワインの面白さ。
パスポートもスーツケースもいらない、
「飲む旅」ってやつです。

まだ見ぬボーヌの町並みも、
ジョゼフ・ドルーアンの気品と緻密さが詰まった1本で
ちょっとずつ心の中に風景が描かれていく。

異国の旅は不思議で
誰かがぽつりと話してくれた「音」や「香り」が、
不意に心に居座ったりする。

ちょっとボーヌまで
いかがですか?

〜ドルーアン家の魂 ― ボーヌ・クロ・デ・ムーシュ〜

「クロ・デ・ムーシュ」。
それはジョゼフ・ドルーアン家が最も愛し、最も大切にしてきた場所。
1930年代、不遇の時代にあってなお、
この丘に価値を見出し、情熱を注いできた畑です。

ボーヌの南端、風通しが良く日当たりも抜群のこの区画は、
赤にも白にもそれぞれ特別な美しさを与えます。

この1本に触れるたびに、
ドルーアン家が代々守ってきた土地への敬意と、時間への信頼を感じずにはいられません。
「派手に語らず、けれど深く語る。」
クロ・デ・ムーシュは、そんなワインです。
忙しさに覆われた日々の隙間に、そっと自分を取り戻すような一杯を。

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